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酒井和雄税理士事務所

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2021年11月 1日 (月)

相続税申告までの流れ

 亡くなった方が遺した財産が、相続税の基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告書を10か月以内に被相続人の死亡の時における住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。

 そのためには、まず、最優先で相続人を確定しなければなりません。一般的には配偶者と子が相続人であることが多いのですが、兄弟姉妹が相続人である場合や代襲相続人がいる場合等相続関係が複雑な場合は特に注意して確認作業を進めなければなりません。

 次に相続財産を把握するために、相続財産に関する資料を収集しなければなりません。そのためには、財産について熟知していると思われる配偶者や同居していた相続人からも
聴き取りしなければなりません。

 相続財産の把握が終りましたら、確定させ評価しなければなりません。相続財産の価額は、相続開始時の価額になります。そして、その価額は原則として財産評価基本通達に基づいた価額によります。

 なお、相続財産には、被相続人名義に限らず、実質的に被相続人に帰属すると認められるものも含まれます。例えば、名義預金や名義株があります。

 その結果、相続税申告書の作成が必要となればご自分で作成する場合を除き税理士に依頼されると思います。その際の税理士報酬は、一般的には相続財産の総額に応じて決められていることが多く、また、土地の評価が複雑な場合や同族株式の評価がある場合には別途加算になることが多いようです。

 税理士としては、申告を依頼されたときには概算で総額を計算し概ねの報酬を相続人に伝えておく配慮が必要かと思います。

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2021年8月11日 (水)

遺産の相続

遺産の相続は、身近な人が亡くなった瞬間から開始されます。財産を遺して亡くなった
人を被相続人、その財産を受け継ぐ権利のある人を相続人といいます。

 相続では、不動産・有価証券(上場株式等)・現金預貯金などのプラスの財産だけでは
なく、借金などマイナスの財産の両方を引き継ぐことになります。そのため、どんな財産
があるかを調査して、財産目録を作成する必要があります。

 遺産総額が基礎控除額(3600万円+600万円×法定相続人の数)を上回る場合のみ相続
税がかかります。この場合には、被相続人の死亡から10か月以内に被相続人の死亡の
の時における住所地を所轄する税務署長に相続税の申告書を提出することになります。
 なお、相続財産が3600万円以下であれば絶対に相続税はかかりません。

 ところで、相続財産を調査する際に気になるのが「生命保険」です。遺言やエンディ
ングノートの類がなく、家の中を探しても保険証券や保険会社からの郵便物も見当たら
なかったという場合には、保険金などを受け取り損ねることもあります。

 生命保険協会は2021年7月1日から「生命保険契約照会制度」を始めました。保険契約
の存在が分からない人に代わり、協会が生保各社に契約の有無を調べてくれます。利用
料は1回3000円(税込)で、申請の際は戸籍や死亡診断書のコピーなどの書類を提出す
るようになります。

 回答に2週間程度かかります。契約が存在すれば、利用者が自分で保険会社に内容の
確認や保険金の請求をするようになります。

 親がどんな財産を持っているか子が知っていれば、少なくとも探す苦労は減ってきま
す。そのためにも、常日頃から親子の関係をよくしておくことが大事です。


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2021年5月22日 (土)

みなし譲渡

 所得税法は、経済合理性のみを目的としない個人を対象とする税目です。そのため、土地や建物を売ったときは、通常の取引価額(時価)ではなく、実際の売却価額を収入金額として、譲渡所得を計算されるのが原則です。

 しかし、みなし譲渡とは、無償あるいは著しく低い価額で資産を譲渡したにもかかわらす、時価で譲渡したとみなして課税する税制上の規定のことをいいます。

 例えば、会社等(法人)にただで財産をあげた場合(贈与)や法人に対して時価の2分の1未満で売却した場合や遺産を限定承認で相続した場合は、実際に代金をもらっていないにもかかわらず、売った土地や建物の時価を収入金額として譲渡所得が計算されます。

 具体例で見てみましょう。同族会社の代表者個人がその会社に時価1億円の土地を4,000万円で売った場合は、売った金額の4,000万円ではなく1億円が譲渡所得の収入金額になってしまいます。

 なお、個人に対して著しく低い対価で資産を譲渡しても、譲渡人にはみなし譲渡所得課税は生じませんが、譲受人は、時価との差額に相当する金額について、贈与があったものとみなされます。

 ただし、個人に対する譲渡で時価の2分の1未満の価額で資産を譲渡した場合に、もし譲渡損が生じたときはその譲渡損はなかったものとみなされます。

 みなし譲渡は実際に利益を得ていないことから申告漏れが起きやすいので注意が必要です。

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2021年3月12日 (金)

土地の相続登記の義務化

 先般の新聞記事によると、法制審議会(法相の諮問機関)は、2月10日に「相続登記」や「住所・氏名を変更した時に土地の登記」を義務付ける法改正を答申したとありました。
 これを受け、政府は3月に改正案を閣議決定し、今国会で成立させ、2023年度にも施行される予定です。

 いまは相続が発生しても登記は義務ではありません。そして申請しなくても罰則もありません。このような状況から、特に価値が低い土地は放置されがちで、名義の書き換えの手間や登記費用などを嫌って登記をしない場合もあります。そうすると、死亡者の名義のまま年月が経てば所有者の把握が難しくなります。

 所有者不明の土地は、所有者不明土地問題研究会による推計で16年時点で全国に410万ヘクタールあるとされ、九州本島の面積370万ヘクタールを上回ると試算されています。

 このような所有者不明の空き家や荒れ地は処分できず、周辺地の地価が下がったり景観が悪化したりする問題があります。また、公共事業や民間の都市開発が一部の所有者不明地のために進まないケースも多いとされています。

 そこで、相続等による所有者不明土地を予防するための対策や、所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組みを整備する観点から、民法や不動産登記法等を改正する今回の要綱案が提出されたのです。

 改正案の大きなポイントは次のとおりです。

 ① 相続時の登記を義務化
   取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料の対象となります。10年間、届出がなければ行政が法律で定    める割合で遺産を相続する「法定相続」になります。   
 ② 土地の所有権放棄の制度化
   相続等により土地を取得した者がその所有権を放棄して土地を国庫に返納することが可能となります。対象となるのは「建物がない」「土壌汚染がない」等の条件を満たした土地に限られます。
   また、申請時の手数料と、国が10年間管理するのに必要となる標準的な費用を納入しなければなりません。
 ③ 住所・氏名変更登記の義務化
   所有者である個人や法人の氏名又は名称及び住所の変更があった場合は、その日から2年以内の変更登記申請を義務化します。違反すれば5万円以下の過料対象となります。
 ④ 法務局による所有者情報取得の仕組み
   法務局(登記官)が、住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に自動的に反映する仕組みをつくります。死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようにします。 

    
 現時点で相続登記や変更登記が未了となっている不動産が即登記義務化の対象となるわけではありませんが、この機会にもう一度、先代名義の土地・建物があるかどうか確認する必要があると思います。

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2021年1月15日 (金)

配偶者が遺産分割前に死亡した場合

   配偶者は、常に相続人となり、血族相続人があるときは血族相続人と共同相続します(民890)。

 ただ、配偶者は、通常、被相続人と年齢が近いことが多いので、相続開始後、長い間、遺産分割協議が行われないと、配偶者が遺産分割協議前に死亡してしまうケースもあります。

 ところで、配偶者の税額軽減の規定は、相続税の申告期限までに相続財産が未分割である場合の申告時には適用できません。配偶者が遺産分割前に死亡したということは、未分割の状態で亡くなった場合であるため、配偶者の税額軽減を適用することができないとも考えられます。

 しかし、このような取り扱いは、配偶者が遺産分割の確定により財産を取得した後に死亡した場合に比べ相続税の計算上著しく不公平な結果をもたらします。

 そのため、第一次相続に係る配偶者以外の相続人等と第二次相続に係る共同相続人等との間に、配偶者が取得したものとしてその財産が確定したときは、その死亡した配偶者が取得したものとして配偶者の税額軽減を適用することができます(相基通19の2-5)。

 
 また、第一次相続により取得した財産について、第一次相続に係るその死亡した者以外の相続人等と第二次相続に係る共同相続人等との間に、その死亡した者が取得したものとしてその財産が確定したうちに、特例対象宅地等があるときは、その死亡した者が取得したものとして小規模宅地等の特例を適用することができます(措基通69の4-25)。

 いずれにしましても、相続人間でコミュニケーションをとりながら、早めに遺産分割協議を行うことが大事です。

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2020年12月22日 (火)

未支給年金は相続税の対象か?

 国民年金や厚生年金など公的年金は、偶数月の15日に前月と前々月の分がまとめて支給されます。年金の受給者が死亡したときは、死亡した月の分までもらう権利がありますが、支給は翌月以降になるため必ず未収年金が発生します。

 国民年金法は、年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給されていない年金があるときには、その者の配偶者(内縁の配偶者を含む。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、「自己の名」で、その未支給の年金の支給を請求することとされています(国民年金法19①)。

 平成7年11月7日の最高裁の判決において、国民年金法に基づく未支給年金請求権の相続性を否定しています。すなわち、国民年金法第19条の規定については、同条が未支給年金の支給請求することのできる者の範囲及び順位について民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしているのは、民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されています。

 この最高裁の判決を踏まえ、未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税の対象とはなりません。

 なお、厚生年金保健法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、独立行政法人農業者年金基金法等の規定に基づく年金の未支給年金についても同様に解されます。

 ところで、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、当該遺族の一時所得に該当します。ただし、一時所得には50万円の特別控除がありますので、未支給年金だけで課税されることは少ないと思われます。

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2020年11月 7日 (土)

コロナ過での路線価補正なし

 路線価は毎年1月1日時点の土地1平方メートル当りの評価額で、相続税、贈与税等の算定基準になります。その価額は、国土交通省が毎年3月に発表する公示地価の8割程度とされています。

 国税庁は、本年7月1日に令和2年分の路線価を公表しました。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、地価の動向が不透明な状況にあるため、令和2年1月1日時点の地価が20%以上下落し、地価が路線価を下回る状況が広範囲でみられた場合には、令和2年分の路線価の修正等を検討するとしていました。

 そして、国税庁は10月28日、路線価の補正等を検討する目安の地価が「マイナス20%」に届いた地域はなかったとして、本年1月から6月までの相続・贈与で取得した土地の評価に適用する令和2年分の路線価について、価格の補正(減額)は見送ると明らかにしました。

 ただ、本年7月から12月については、引き続き地価の動向を注視し、路線価の補正等の必要性を検討するとしています。なお、補正を要する場合、現時点では、年明け頃にはその内容が公表される見込みです。


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2020年9月24日 (木)

遺産分割前の預貯金の仮払制度

 口座名義人が亡くなり、口座名義人の預貯金が遺産分割の対象となる場合には、遺産分割が終了するまでの間、相続人単独では預貯金の払い戻しを受けられないことがありました。

 このため、一定条件のもと遺産分割前でも、各相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いなどのためにお金が必要になった場合に、預貯金の払い戻しが受けられるよう、平成30年7月6日に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」により、相続預貯金の払い戻し制度が創設されました。

 この規定が新設されたことにより、他の共同相続人の合意等を得なくても、各金融機関において最大150万円まで、相続人が単独で預貯金の払い戻しを受けることができるようになりました。

 具体的な算式は、「相続人が単独で払い戻しを受けることができる金額=相続開始時の預貯金残高(口座基準)×1/3×当該払い戻しを行う相続人の法定相続分(ただし、一つの金融機関から払い戻しができるのは150万円まで)」となります。


 この仮払制度は、令和元年7月1日から施行されており、施行日より前に起きた相続に対しても、この仮払制度を利用することができます。

 ところで、この制度により仮払いを受けますと、それを受け取った相続人は遺産分割(一部分割)により取得したことになりますので、「単純承認」したとみなされます。その結果、あとから消極財産(債務等)の方が多いと判明しても相続放棄することはできません。

 したがいまして、この仮払制度を受ける前に、被相続人の財産や債務について十分に確認しておく必要があります。

 なお、制度利用の際に必要な書類は、本人確認書類に加え、①被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)②相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書③預貯金の払戻を希望される方の印鑑証明書などになりますが、取引金融機関により、必要となる書類が異なる場合がありますので、詳細は直接取引金融機関にお問い合わせ願います。


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2020年7月28日 (火)

路線価

 国税庁は7月1日に、令和2年分の路線価等を公表しました。路線価は、その年に生じた相続や贈与で取得した土地等の評価額を算定するのに用いるものです。毎年1月1日を評価時点とし、同日以後1年間の地価変動を考慮して時価の80%程度を目途に算定されています。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響等により、今後の社会情勢や不動産市場の先行きは不透明といえます。今後は、広範な地域において、評価時点の時価よりも概ね20%以上下落し路線価が時価を上回るような「大幅な地価下落」が確認された場合には、路線価が時価を上回らいないよう路線価に一定の「補正率」を設定し評価するなど、納税者の申告の便宜を図る方法が幅広く検討されています。


 国税庁においては、9月頃に国土交通省が公表する「都道府県地価調査」(7月1日時点の地価)の状況や、外部の事業者に調査を委託するなどして広範な地域で大幅な地価の下落が確認された場合などには、本年10月頃以降に、令和2年分の路線価を減額調整する「補正率」の設定など幅広く検討する方向に入っているとのことです。

 補正率が設定されるとしても本年10月以降となり、1月頃に相続が発生していた場合などは、補正率の設定が申告期限に間に合わないケースも考えられるので、補正率が設定される場合には、申告期限が延長されることも検討されているとのことです。

 国税庁HPにおいては、平成26年分から令和2年分までの7年間の路線価等の閲覧ができます。


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2020年5月 8日 (金)

配偶者居住権

  相続法の改正で4月1日から「配偶者居住権」が創設されました。配偶者居住権とは亡くなった人の配偶者が遺産分割後も住み慣れた自宅に住み続けられる権利です。

 配偶者居住権には、「配偶者短期居住権」と「(長期)配偶者居住権」の2種類が存在します。なお、配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に居住していたことが要件になります。

 前者は、被相続人が死亡した相続開始時から6カ月、もしくはその6カ月を超えても遺産分割が確定(他の相続人が自宅を相続)するまでは住み続けることができる権利です。
 つまり最低6カ月は自宅から退去させられることはないということです。

 後者は、遺産分割協議の際に遺族が利用するだけではなく、夫などがあらかじめ遺言書に書いておくこともできます。なお、遺産分割協議で権利が使えるのは2020年4月1日以降に発生した相続が対象となります。

 配偶者居住権の財産評価ですが、通常の場合、建物と土地に区分し、それぞれについて、その所有者が取得する財産価額(所有権)と配偶者が取得する財産価額(居住権・敷地利用権)に区分けするようになります。
 ここでは具体的な計算方法は省略させていただきます。

 配偶者が配偶者居住権を他人に主張するためには建物について設定登記を行わなければなりません。その場合の登録免許税は、建物の価額(固定資産税評価額)に対し、1,000分の2の税率になります。

 配偶者居住権は終身の権利で、配偶者が亡くなるまで権利が続きます。なお、配偶者居住権は売却はできませんし、配偶者の死亡によって消滅することになりますので、相続税の課税対象にもなりません。
 
 このように配偶者居住権は二次相続で権利が消滅するので、その分が節税になるともいわれています。

 なお、配偶者が生前に配偶者居住権を放棄などをした場合、贈与があったとみなされ、子(所有者)に贈与税が課されることになりますので、制度の利用については十分注意したいものです。


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